2017年11月29日水曜日

2017年11月29日(水)

1122日水曜日12時。秋田空港に降り立つ。
秋田は初めてだ。ピリッとした寒さが心地よい。
そのまま秋田公立美術大学に向かい、
3年生を中心にした午後の授業に臨む。
それにしてもこの大学、4年制になってまだ間もないのだが、旧知の信頼するアーティスト、建築家、キュレーターたちが教授陣になっていて、よくぞここまで集まったものだと心から驚いてしまう。秋田という土地とこの人たちの集積を思うとき、これは本当にすごいことが起こっていると直感する。しばらくすれば、ここから必ず時代を背負う表現者たちが巣立っていくだろう。

夜は街道沿いの古い町屋を素敵に改装した知人のお宅にみんなが集まって、本当に不思議な時間になった。それぞれの人生が交差して、いま、こうして秋田に集っている。彼らの子供達が走り回り、いやでも自分の四半世紀について思いを馳せる。外では冷たい静かな雨。


【筆名:芹沢高志 年齢:66 都道府県:東京】

2017年11月22日水曜日

2017年11月22日(水)

ちょうど2ヶ月前、スウェーデン南部に位置するマルメで水曜日を過ごしていた。結婚する前から夫がそのまちの話を聞かせてくれて、いつか行きたいと思っていた場所だ。

今回の旅には、いくつか目的があった。マルメ市内に住む友人に会うこと。両親が元気なうちに一緒に海外旅行をすること。そしてマルメから車で1時間ほどの街、クリシャンスタードの湖畔にある素朴なチャペルで小さな挙式をあげること。今日は、そんな水曜日の思い出が詰まった写真を机に広げながらフォトアルバムを作っている。

慣れない異国の地でハレの日を過ごす両親たちは、様々な緊張に包まれているように見える。石畳をひたすら歩いたけれど、疲れより好奇心に満ちた顔もしている。エビ山盛りのオープンサンドやサフラン風味の魚介スープを頬張る写真をみては、食べ過ぎだったなぁと笑みが溢れる。
家族で新しい経験ができ、笑いあえる共通の思い出ができてよかった。
次の水曜日には、両親にフォトアルバムを届けたい。


【筆名:髙田彩 都道府県:宮城】

2017年11月15日水曜日

2017年11月15日(水)

うちは、母方の祖母と二人暮らし。今年で89歳になる。
60年ほど経つ2階建ての古い家で小さい庭がついている。

いつもどおり庭を通って出勤しようとしたところ、
出掛けに祖母がプランターから季節外れのトマトが育っていると教えてくれた。
種をまいた記憶はなく、どこからかやってきて、いつのまにか大きくなっていたそう。
寒いからきっと実はならないだろうって。

そういえば昔、庭で金魚を飼っていたことを思い出した。
ある日、23日留守をするのでお隣さんに金魚の世話をお願いしたけど、餌のやりすぎで帰ってきたら全滅していた。今では池も埋め立てて、そこには新しい植物が植えられている。


そんなことを思い出しながら庭で祖母の写真を撮った。

【筆名:桃生和成 年齢:35歳 都道府県:宮城】

2017年11月8日水曜日

2017年11月8日(水)

今日から11月。
クールビズも終わり、久しぶりにネクタイをして仕事に行った。

公務員は固いイメージを持たれがちだが、様々な仕事が経験できる珍しい職種だと思う。
これまで税金の課税や人事、まちづくりや企画政策、時にはスポーツ施設の管理や幼児体育の先生などもしたが、今は観光の仕事に携わっている。

東松島市には「美しい景観」や「美味しい食材」などの地域資源が豊富だが、一番の地域資源は魅力あふれる「人」であると実感している。
東日本大震災により多くの市民が家族を失ったり、普段の生活を奪われたりした。震災後、全国からの温かいご支援により今の東松島市があると言っても過言ではない。感謝の気持ちを伝えたいという思いを持った市民一人ひとりが「東松島市の宝」である。

水曜日郵便局を通じて東松島市民の気持ちや想いが全国の方へ届けられたらと思うと、こんな素敵な仕事に関わらせていただくことに誇りを感じ、明日からネクタイと心を締めていこう。


筆名:葉原正博 年齢:43歳 都道府県:宮城

2017年11月1日水曜日

2017年11月1日(水)

明け方の寝室は寒かった。ふと目が覚めた時に、隣でぐうと寝ている息子の布団がほとんどはがれているのに気づき、肩までかけてやる。
ちょうど2年前の今日は息子が産まれた日で、産科の病棟の外で眺めた暁の空は澄み渡っていたけれど、風がとても強い朝だった。
さて今日はどんな天候になるのだろう。周囲に秋が満ちている日だということは毎年変わらず確かなのだろうか。
などと思索にふけようとするも、水曜日は毎週朝から専門学校の授業があって、その最中にほかの事を考えるのはむつかしく、あっという間にお昼になった。教室があるビルの10階からは街を見下ろすことができるのだけれど、はめ殺し窓の向こうの大気の様子を感じることはできなかった。

午後の打ち合わせ場所に移動し、コインパーキングに車を停めた。フロントガラスの先には灰色の空とカアと鳴く一羽のカラス。運転席でひととき、子のハレの日に思いを巡らせたりした。何気ない日のこの短い書簡をいつか彼に見せる日が来たりするのかな。

筆名:渡邉武海 年齢:43歳 都道府県:宮城