誰かの水曜日へ
人生をかえるような言葉ってありますか。
人生をかえるようなっていうとおおげさだけど、なんとなく、ず〜っとおぼえていて忘れられない“ことば”ってある。
小さいころ、ボクには兄貴が居るんだけど、その兄貴と家でピアノを弾いていた。
たぶんボクが4才くらい(このくらいの記憶ってあいまいだから、本トのところは分からないけど...)なので、兄貴は6才くらいだったと思う。
2人で交互にピアノをひいていて、ボクは自分のひくピアノを母にきかせたくて何度も母に「今のきこえた!?」って言いにいっていた。
そんなボクをみて兄貴はうっとおしかったのか「お前は誰のためにピアノひいてるんだ!」と怒った。
でもボクとしては、ピアノをひくことイコール母をよころこばせることだったし、上手だって認めてもらうことだったから、兄貴が何を怒っているのか全く分からなかった。
確かに、今おもえば兄貴はきっと“自分がひきたいからひく”ということだけだったから、きっとボクのことを理解できなかったんだとおもう。
そのときのことをずっとおぼえているのは、今ボクがデザイナーという商売をしていて、「誰かのために」何かをするために生きているのに対して、兄貴は研究者として何の役に立つかは分からないが宇宙の心理を追い求めているからだろう。
そういう人間性なのが原因か、もう一つ忘れられない言葉がある。
ある先輩デザイナー(この人は凄腕の売れっ子で、会社を代表する人)と、一緒にある案件にとりくんでいた。
このときのクライアントが、とってもキビしい人で、なかなか内容がきまらず、あせっていたんです。
一緒に新幹線にのったときに(打ち合わせに向かう電車)先輩に提案をみてもらったときに、ボクが「この内容で説得できるか... いや、説得してみせます」と言ったとき、いつも優しい先輩がきびしめに「説得するんじゃなくて、納得してもらうんだ」と言った。
だんだんと、自分の都合のいいようにモノゴトを決めてしまっていたとおもいしらされたんです。
その先輩は旅館のリニューアルをたのまれて見にいったら、リニューアルなんかするよりとにかくみんなで掃除して、よけいなものをおかず、せいけつにすることが一番大事だとアドバイスだけして帰ってくるという強者でした。
(※ 結局、その旅館は何千万もつかうはずだったリニューアルをヤメた)
その先輩は一昨年事故で亡くなったのだけれど、その言葉は新幹線の風景と合わせて今でもよくおぼえている。
最後に、その先輩からもらった大切な一言をかいて筆をおきます。
『楽しいことを考えるには、楽しんでデザインしないとだめなんだ。だから、おれたちは楽しんでいこう。よろしく』
【筆名:ロージー 年齢:32 都道府県:埼玉】
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