地下鉄の改札から出て、地上へ向かうと、出口のところで数名が立ち往生していた。
突然の雨のようだ。通行人が雨に濡れながら走っている。
傘を持っていなかったので、意を決して、自宅まで走ることにした。
自宅の近くにバックドアが開いた状態の白いバンが止まっていて、3人の男女が立っていた。
車の荷室には、大きな箱が設置してあり、男性が、黒い塊の様なものをその箱に入れようとしていた。3人も傘をささず雨に濡れていた。
通り過ぎる瞬間、箱に入れられようとしているものが、大きな犬だと分かった。
近所の黒い大きな犬が死んだんだ。よく通行人を黙って見つめている犬だった。
自宅に入る前にもう一度、振り返ると、飼い主らしき女性が泣いていた。
赤崎水曜日郵便局が閉局した2016年3月最後の水曜日。
僕は、いつものように八代駅から、おれんじ鉄道で津奈木町へと出勤するために向かった。
途中の停車駅のホームに、一匹の犬が座って電車を見ていた。
トンネルを抜けると線路沿いに咲く桜が見えてきた。
津奈木町に到着すると雨が降っていた。
夕方になると雨は上がって赤崎水曜日郵便局の前に広がる海に金色の道が見えた。
そんなことを思い出した水曜日。
筆名:遠山昇司 年齢:33 都道府県:東京
雨と犬の思い出に情景が浮かぶようです。
返信削除私も犬を飼っていましたが4匹を見送ってから高齢のために飼うのを諦め、友人の犬に癒されることがあります。インスタグラムは犬を飼っている人ばかりのファンとなり、目を楽しませています。